インタビュー
「株式会社 木村板金工業」

代表取締役社長 木村 孝貴

経営者としての今後の目標・やりきたいと思われていること

色々とお聞きしてきましたが、最後の質問で。
もうすぐ100周年ですが、経営者としての今後の目標、やりきたい、と思われていることはございますでしょうか。

 そうですね。
ホームセンターでやってる技術もそうなんだけど、今うちの会社でやってる考え方。それをきちんと従業員さんに伝えていきたい、そういう従業員を増やしたい。そしてホームセンターに関して言えば、今日からやめますというのはないから、やっぱり繋げていくには、そういう人間を育てて、管理できる人間も育ていきたいな。
管理をしてそれを実行できる、両方当たり前なんだけど、オールマイティに出来るような人でなくても、それを先頭に立って信じてやる経営者と、それを補ってくれる技術者が一番大事ですよね。
うちの事務員さんなんか、普通の事務屋さんとは違うので、もう私の代理人みたいな事務員さんですよ。なんでも取引先の社長さんと話し合って、依頼出してますもんね。

それこそ、その現場の管理と事務的な管理とはオールマイティに、社長より知ってらっしゃるじゃないかと思うくらいです。

 だから、経営を先頭を引っ張っていく経営者と、事務管理と現場管理。この三本で一つなんで、きっちりやっていきたいですね。
100周年まであと7年。頑張りますよ。
あと10年あったうちの3年はコロナでつぶれちゃったんで、もったいない3年でした。
私の考える地域も狭まってしまって。また、大きく羽ばたいてもう一度世界から見たいです。もっと地域貢献、社会貢献、世界貢献したいですしね。

 もう1つは、やっぱり従業員待遇っていうところ。うちだけじゃなくって、全国的にそれが経営者の一番問題になるところじゃないかな。
いま全国の平均年収は500万前後って言われてるんだけど、それは大手企業がすごい底上げしているだけで、その一部の大企業を抜いた平均年収は300万いかないくらいなんですよ。
それを底上げしていきたい。
そのためには、経営者として確固たる原価管理のもと受注しないといけない。どうしても受注したいとか、厳しいからこれでやってとか、特に建設業はそこに甘んじてやってるところが多すぎる。
だから従業員さんにも還元してあげられなくなっちゃう。
みんな厳しい厳しいって言うけど、やっぱりそれは経営者の責任だと思うのね。

 経営者として適正価格で受注を取るということ。
それを私はISOをとって解かった。ISOってやっぱり従業員さんにもちゃんと還元するための仕組みじゃないですか。それを厳しいっていう一言ですましてしまうのは、ISOの理念に反する。
ISOは儲けせてくれる。それは簡単に儲けさせてくれるじゃなくて、ちゃんとした利益を取れる会社経営を、経営者が苦労して生み出すんだよっていうことだと思うんですよね。ISOをやりだしていつも思っているのは、その確固たる健全な利潤追求ということ。これをやっぱり経営者は怠らないでやらなくちゃいけない。
どんな会社でも、景気と一緒で、良い時もあれば悪い時も絶対にあるので、悪い時でも平均以下に落ちないようにしていかなくちゃいけない。そのためにはどうしたらいいかって言ったら、経営者が自分でお客様を持っていればいい。
工務店と付き合っていれば毎日仕事があって、満足感もあるかも知んないけど、工務店が景気悪い時に安い値段で受注するから、そこに引きずられて自分の会社も景気悪くなっちゃう。

 元の話しに戻るけど、やっぱり従業員さんを平均以上の待遇で働いてもらうためには、原価管理ですよ。
言われる時はありますよ、ネットだとこんだけだから、こんな風にしてくれないかとか。普通の経営者は分かりましたって言うしかないと思って言ってきてる。でも、こちらもネットは分かってるんで、これだけ最低欲しいって言えますよね。そして納得してもらえれば、工務店も下請も一緒に良い仕事ができるんだから、言うことは言う、そういう経営者にならないとダメだね。
難しい場面も結構あるかも知れないけど、原価管理がしっかりできてたら、言うべきところでちゃんと言えますよ。

利益がちゃんと取れなくて赤字になっちゃったら、従業員さんに低い給料しか出せなくなる。しょうがないですね、と言って値引いたお金は、ひょっとすると本来従業員さんのボーナスなんかに還元されるお金だったかも知れないのに。
その一方で、従業員さんにも経営者と同じく努力して欲しいなと思います。何の努力もせず、勉強もせず、俺は5年10年勤めているんだから給料を上げてくれ、というのはちょっと違うのかなと思います。
原価管理の中で、材料費・諸経費とともに人件費いう形で構成されてるので、従業員さんの能力が上がれば利益が増える、利益が増えるからお給料が上がる。じゃあお給料を上げるためにどんな努力をしていますか、という話になってくるのですが。
そもそも、この仕事を受けた時にこのお給料のこの職人さんならどの程度で終わらせるか、と考えて金額を出しているところがまだまだ少ない。だから努力されないのではないかって、最近よく話しています。

 ちゃんと勉強していれば、やっぱり相手方の工務店やゼネコンやなんかも、うちの従業員に対してこういう還元を考えてる、という想いを分かって、納得してくれますよね。向こうだってやっぱり原価管理しながら従業員を雇用してるんだから。
うちにやらせてもらうんだったら、これくらいの利益かなって、そこは交渉の余地がある。
個々の能力については、やっぱり対人間だから、数字はある程度の参考であって、大部分は経営者とその従業員さんとの面談によるところが大きいと私は思いますね。その中でも特に安全管理については絶対削っちゃダメですね。私もまだ30代の頃に大怪我をした経験があるんで、十分に安全管理はしていかないと。

これは経営者は必須の感覚かも知れませんが、従業員さんに対して、この業界に入ってこられたらまずは安全管理、その上で仕事を覚えて技術を身に着けて、この仕事の意義を理解してもらう。どういう仕組みでお客様からお金を頂戴して、評価イコールお給料というものがなされていくのか。

 それを理解してもらってね。
誰のために、何のために仕事をしているのか、この二つがすごく大事なので、従業員さんには、まず最初にその部分を理解してもらう、勉強してもらう。
やっぱり昨日まで学生だった人たちは先生に守られていたのに、突然手放されて社会に出るわけですから、会社が彼らを守ってやらなくちゃいけない。
じゃあ守るって何なのか、会社って何のためにあるのか、何のためにあなたは仕事をするのか。それがやりがいとさっき言った地域貢献。もう繋がってるよね。 そこが一番大事な部分だと思う。

 うちの会社には、企業理念の下に3つのきどうというものがあって、一つは喜びを分かち合って働く喜働、一つは希望を持って働く希働、一つは輝く未来に向かって働く輝働
これは、みんな希望を持って、夢を持って仕事をしましょう。お客様が安心できる住まいになってもらいたいという希望と、それをやりがいと思える喜びと。それが輝く未来につながりますよと、経営理念を考えた時に最初に思いついたこと。
もう一つ、経営理念を考える時に考えなくちゃいけないと思ったのは屋根屋って何なのかって。何なのかわからないから、屋根屋根屋根屋根といっぱい紙に書いたんです。屋根の屋ってそれだけで完結しているのに、何で根っこがついてるのか。屋根って建物の上にあるのに何で根っこなんだって。

 そうか。屋根はきちっとした根っこがないと、屋として機能しないから屋根なんだ。そこを担うために屋根屋があるんだって気付いたんです。
その根っこの部分で家族が住まい、根っこで地域のコミュニティを形成し、根っこで支えてるのが屋根。屋根は屋の根っこの部分なんだろうなって。
これはね。ものすごい考えて描いて描いて描いてた時に、ぱっと思いついた。一番大事なその根っこの部分だって。
そうじゃなかったら、屋工事業でいいんですよ。

日本語って面白いいいですね。本質がそこにあるといいましょうか。そういうことを考えて、一つの言葉を生み出した。そこにはいろんな人の思いが詰め込まれているように感じます。

 本当にすごいよねと思ってね。最初に言った、やすらぎを創造するチャレンジ企業、というのも、本当に屋根からきてるんです。
やすらぎはどこで発生するかといったら、根っこのあるコミュニティの部分なんですよ。
だから、屋根屋をやるためには、まず根っこを学ばないといけない。気づくというか、教えてもらう事ではないんだけど。
板金屋さんって自分たちのことを無意識に屋根屋って呼ぶよね。板金って屋根を仕上げる材料のことであって瓦と変わんない。
でも自分たちのことを屋根屋って呼ぶのは、やっぱり根っこを守っているという思いがそこにあるからじゃないかな。

確かに、私もあまり意識せずに呼んでいましたけれど、そうかも知れませんね。
その思いをしっかり繋いでいけるように、まだまだ頑張っていきたいと思います。
たくさんのお話しを聞かせていただきまして有難うございました。
今回は新潟県上越市の木村板金工業、木村社長にお話をお伺いしました
どうもありがとうございました。


株式会社木村板金工業は、初代木村松五郎が茅葺き業として起業し時代のニーズに合わせ2代目が建築板金業として事業を展開しました。『やすらぎを創造するチャレンジ企業』の理念掲げ今宵、多様化するお客様のニーズに応える技術と信頼に心がけています。

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