インタビュー
「株式会社MURATA」

代表取締役 村田 豊

職人育成事業GATENマニュアルについて

では、少し核心に迫っていこうと思います。
株式会社MURATAでいろいろな新しい事業を進めておられるわけですけれども、その中でも特徴的な職人育成事業GATENマニュアルについて、どういったものなのかお聞きしてもよろしいでしょうか。

 はい。
どの業界もそうかも知れませんが、板金業界は、若い人材がいないというか、入ってこないという業界でもあるんですね。それでも、とは言ってもじゃあ「入ってこないから」「入ってこないから」だけでいいのか、何か自分でできることはないのか、と色々考えていく中で、若い新卒の子たちもしっかりと受け入れられるような会社体制にすることも重要なんではないか、と思って始めた事業です。

 そこに外国人実習生という制度もあって、若い子たちや実習生に向けて、できるだけ早く職人の技術を訓練して、動画マニュアルで勉強してもらって、実践は現場で行うという事業です。
OJTとOffJTに分けた、国の制度に合わせるたマニュアルを作成して、2023年3月からトライアルを開始し、同年4月からは本格的な運営となってます。

それはMURATAさんのところにおられる外国人実習生とか、新しく新卒で入ってこられた方が対象ということですか。

 まずは、うちの会社も若い人材は欲しいので、そこで活用するんですけど、基本的には全国の同業板金屋さん向けに提供していきたいと思っています。
それぞれの板金屋さんのところで、新しく人材を雇用したい、そこで行う職業訓練であったり、教育訓練をしたい、と思われた際に、その会社さんにGATENマニュアルを導入してもらって、その会社さん内で訓練を行っていただく形です。

 ただ、いろんな板金屋さんから、そもそもGATENマニュアルを使う気でも若い人材(分母)がいない、GATENマニュアルを活用する場がないという、そもそものところにぶち当たってしまって。
そこで、まず若い人材を雇用できるような会社づくりも必要ですよね、という話しになり、外国人実習生をどういうふうに受け入れて、どういうふうに活用しようか、という考え方もGATENマニュアルプラスアルファのところで提供しています。

 板金屋専門の外国人実習生の受け入れる協同組合があって、私がその協同組合の理事メンバーとして、インドネシアの子たちをとかをGATENマニュアルを活用して板金屋さん向けに教育訓練をして、それから受け入れてもらうという流れをいま作っています。

受け入れ機関でGATENマニュアルを活用して訓練された人材が各地へ配属されていくという流れですね。

 例えば、外国人実習生を雇用したい板金屋さんが、現地で実習生を面接して、来てほしいです、雇用したいです、となれば、その子のために大体、現地で半年間研修をするんですけれど、その中の一つとしてGATENマニュアルを入れてもらって、まず板金業界ってどういう業界なのかとか、ハサミとか道具の名前とかを覚えてもらうとか、業界用語みたいなものを覚えてもらう。

 その研修を終えて日本に入ってくれば約1か月間の研修があるので、それはMURATAで実習訓練の動画マニュアルを交えて訓練して、それからそれぞれの板金屋さんに送り出し働いてもらう、という流れです。

まず第1ステップとして、現地の研修(送り出し)機関でGATENマニュアルを使って基礎訓練を行い、そこで研修を終えた方々が第2ステップとして、日本の協同組合(受け入れ)機関でしっかりと技術・知識を身につけてから各就職先へと配属されるということですね。

 その中で、私もその協同組合(管理団体)の理事なので、うちから送り出した子たちに関しては、うちの方でしっかりと管理をさせていただきます、という流れです。

そうすると、実習生を受け入れたいなと思った時には、MURATAに相談をして、じゃあ一緒に現地に面接に行きましょうかとなり、現地ではそういう訓練が行われているので、動きを見て、きみ良ければうちで働かないかね、みたいな形で面接をして、もし決まればその方が国内の受け入れ機関(MURATA)で訓練してから、来ていただけるということですね。

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