インタビュー
「​株式会社テクノアウター」

取締役会長 桑原敏彦

職人さんの技術力について

では、先ほどもお話しがありました、職人さんの技術力についてお聞きしたいと思います。

2010年「利根沼田テクノアカデミー」の前身である技能訓練センターを社内に設立され、県の認可を受けられたわけですが、そこにはどんな思いがあったのでしょうか?

 テクノアウターは技術力を提供する会社です。
特に職人の技術はうちの生命線と言っても過言ではありません。
 にもかかわらず、当時の職人は丁稚3年修行5年などと言われ、先輩の技術を見て覚えるのが当たり前の世界でした。そのようなやり方で職人の成長を待っていても、いつ一人前になるか分かりませんし、一人前になるまで会社に残ってくれるかも分かりません。
 そこで、根本的に考え方を変えたいとは入社当時から思っていました。

 時は流れて、組織ができ、私が抜けても回るようになってきたので、いよいよ次の段階へ進もうと考え、まずは社内で実践形式で基礎技術を教える場所を設けたのが「テクノアウター技能訓練センター」です。
今は名称も場所も変わってしまいましたが、創業の地が今でもありますよ。
 また、経理畑出身の私でも職人に技術を教えることができるように、一級技能士に挑戦したり、全国板金技能大会に挑戦したりしてきたわけです。全てがこのための布石とまでは言いませんが、何かに挑戦するという事はそういう事だと思います。

なるほど、最初にお聞きした挑戦がここにつながるのですね。単なる自己満足のための挑戦ではないと。

専門工事業全般に言えることかも知れませんが、実践形式で技術を教える、いわゆる研修機関のようなものが国内には少ないですね。
昨今のインフラ需要に対して、どれだけ商品開発やDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んでも、最後にそれを施工するのは職人さんの腕だと思うのですが、あまりにもおろそかにされすぎているように感じます。

 ちゃんと教えてくれる場所があればそこにお願いしたのですが、現場で教えるとなると。
教わる側も不満だったかも知れませんが、教える側もストレスだったと思います。
 訓練センターでは、職長の意見を取り入れて「これだけは仕込んでくれ」という部分を徹底的に教えるようにしました。専門用語から、鉄骨上の歩行、ビス打ちや鋏の握り方など。 今となっては、そんなことを現場で見て覚えろと言っていたのかと思うと、ぞっとします。

 繰り返すうちに内容もどんどん精査され、カリキュラム化して県の認定を受けるまでになりました。
外部からも預かり要請が出てきた、そんな時です。見学に来られた建設会社の方から、建築板金だけではなく専門工事の訓練学校を作ってくれないか、と相談され。

そこから「利根沼田テクノアカデミー」の開校へと向かっていかれるのですね。

次のページへ: テクノアカデミーについて

1 2 3 4