代表取締役 小笠原 孝彦
同じ方向を向いて仕事をしていくための会社の仕組み
では次の質問で、社長と従業員さんとが、会社全体として「こういう事を大切にしていこうよ」という、同じ方向を向いて仕事をしていくために、より具体的に会社の仕組みとして、マネジメントシステムとして、こんな挑戦をしてみた、こんなトライアンドエラーを繰り返してる、ということがあれば、いくつかご紹介していただいてよろしいでしょうか。
そうですね。
まず、その窮地から立ち上がろうとしている頃って、社長の私が全てを決めていて、リーダーというか、職長みたいな立ち位置もあったのはあったとは思うんですけど・・・
業務の内容だけをリーダーに伝えて、屋根工事とか板金工事を進めていく、という作業の一環としてのリーダーだったり、業務の進行になっていました。だから、この会社としての、組織としての役割分担というものは全然ありませんでした。
そこで、トップである経営者には経営者の仕事、職長の仕事、営業の仕事、工事部長の仕事とか、こういう役職だから何々をしないといかん、ではなくて、それぞれがその役割をしっかりと分担するということが大事だよって、先輩方に教えていただきまして・・・ その一つがISOというものでした。
ISOは、品質のマネジメントシステムではあるんですけど、そのマネジメントを維持していくために、それぞれのポジションの人が、どういう責任と権限を持って、その業務を進めていくのかっていうことが、ISOという仕組みの一つとして中にあるんですけど。 その中で、経営者としての私の仕事、管理責任者である彼の仕事、内部監査員である人たちの仕事とか、それぞれの担当というかポジショニングで、こういうことをしっかりとやっていこう、というシステムが出来上がっていきました。 その結果として、業務の進め方がガラッと変わっていった一つのきっかけがISOというものがありますね。
次に、そのポジショニングが変わったのと同時に、進むべき会社の方向性、チームオガサというものは、どういう方向に向かってみんなと進んでいこうか、進んでいかなければいけないのか、進んでいきたいのか、ということを明確に明文化して、会社で掲げるようにしまいた。
そして、それを半年ごとに計画を立てて振り返って、できている、できてない、また、できていたら次の目標どうするか、そういうことをトップである私と、それぞれの担当とが、仕事の受け持ちをしっかりと分担することによって、方向性がビシッとまとまっていったのかな、ということがありますね。
何かをやって一発でガラッと変わったのでは全然なくてですね、一つずつ何か成長していったかなっていう感じはありますね。
一般的な建築板金屋さんというと、社長がいらっしゃって、職人さんがいらっしゃって、職人さんの中でも先輩後輩、長く勤めている人が職長さんですよ、部長さんですよ、といった組織の作りになっていると思います。
御社でももちろん、営業のトップの人や工事のトップクラスの人、という方はいらっしゃるのですが、部長という役割、現場仕事とは違う部長の役割というのはこういうことだよね、ということが、ここ何年間かで一気に皆さんが理解されて、その役割を果たしているなぁという勝手な印象があるのですが、社長から見られてそのあたりはどうでしょうか?
それはおっしゃるとおり。
私も、毎日彼らと会ってるから、その何かが変わったということは感じにくいんですけど、ふと振り返ってみてみると、あれ?去年の今頃と全然違うな、とか、そういえば、ということがあって、それを紐解いていくと、ああ確かに、昔こんなだったけどすごい成長したな、と感じることはあります。
今までは自分のことだけ、自分の部署の現場だけ、ということで、とにかく皆さん技能職ですから、現場の板金仕事を進めていくこと自体を重視してたんですけど・・・
会社としたらですね・・・
全ての人にあてはまると思うんですけど、やっぱり技能職でも現場での仕事だけじゃなくて、お客様への対応であったりとか、作業をするにあたってのそのチームでの役割といいますかね・・・
リーダーシップであったりとか、作業の分担であったりとか、時には若手の育成だったりとか・・・、他にも、他部門とか他業種さん、または現場監督さんとのセッションですね。色んな打ち合わせだったり、人との関わりがありながら、一つの建物を作るのが建築ですから、そういうところの調整とコミュニケーションが非常に重要になってきます。
役職を付けたから、ということではなくて、そういう立ち位置でやったらいいよ、という方向に彼らを導いていきました。
それが行動に変わっていって、仕事という一つのポジションじゃなくて、もうちょっと帯というか、流れで取り組むようになってきたことで、周りも成長してきてますし、本人がやっぱり成長してるなって非常に感じましたね。
責任感もできていますし、やっぱりお客様に対する対応というところで、自分がしっかりとお客様に満足してもらうような対応したい、というのが、彼らの言動だったり、行動だったりとか、部下への指導だったり、真剣に取り組んでいる度合いが濃くなってきたなと感じます。