インタビュー
「株式会社 オガサ製工」

代表取締役 小笠原 孝彦

県の防災認定製品や防災関連製品認定とは

それでは、今回のメインテーマ。冒頭でもご紹介した減災ルーフについて、県の防災関連製品にも認定されたということですが、そもそも、県の防災認定製品や防災関連製品認定というのは、県はどういう仕組みで運営され、取り組まれてるものなのでしょうか?

 そうですね。
まず、南海トラフ地震はここ30年以内に起こる確率が70~80%と言われてまして、高知県も地震に対して非常に危機感を持っています。そうなった時に、高知県というのは地域的に山と海に囲まれてますので、四国4県が受ける影響の中でも特に高知県の方は甚大な被害を受けると想定されています。

 そういう背景があって、県自体が防災の取り組みに対して非常に熱心でして、防災に関する製品を高知県内の企業が独自に開発して、それが県内でも有効に使えるし、地産外商というイメージもあって、高知県以外でも使ってもらえる、商機といいますか、商売のチャンスも狙うというものです。
高知県で生まれた防災の製品が、県内で使えるか?県外でも通用するか?、そういった観点で県の方々が審査して、この商品は確かに防災につながるし、高知県の企業で使っている、作っている、これは県内/県外で売っていきたいな。
となれば、県がバックアップをしてくれて、認証をいただく。というのが高知県防災認定関連製品のシステムになってます。

県としても災害に対する危機感を持ってらっしゃって、かつ地場の産業もバックアップしようという両者があいまって、認定制度というものが作られ、いろんな製品が登録をされているわけですね。

 認定製品は3つのジャンルに分かれてまして「備える」「逃げる」「生きる」それぞれで製品が認定されています。
どう生きのびるとか、命を繋ぐとか、あと、何をやると復活するか、とかですね。
揺れてるところからも逃げないといけないし、もちろん津波とか火災とかから逃げることも想定していると思います。

 災害が起こったその時もそうですが、そのあとですよね。その3つのジャンルすべて網羅していないといけないので。 うちはその中でも「備える」というところに着目して、減災遮熱ルーフ「ガルパワー」で認定されました。

 減災遮熱ルーフ「ガルパワー」は、住宅の屋根を軽くして揺れを軽減して、住宅の倒壊を軽減しよう、という効果と、もう一つは、倒壊しなかったとしても停電してしまうと空調が使えなくなりますので、夏場であれば猛暑で熱中症とかになってしまう。冬場ですと、やはり暖房が付かないのはかなり過酷ですので、そういった環境から逃れられる、という効果があります。

屋根を軽くすることで揺れに備え、建物の倒壊から逃れる、もしくは、倒壊までの時間を遅らせることによって、逃れる時間を確保する。
先ほどの3つのカテゴリーの中の「逃げる」という目的にも繋がってきて、更に、避難生活が始まった時には、屋内環境を整えることで「生きる」環境を守るといった、防災の目的を一手に実現するのが「ガルパワー」というわけですね。

 実際に地震といいますと、私が一番記憶に残っているのは阪神淡路大震災。他にも、東北の大震災、熊本の大震災、大阪の北部地震だったり、近いところで2024年正月に起きた能登の地震だったりと、いろんなところで地震が発生していて、直接的には私は地震を経験したことがないんですけど、調べていくと、古い建物が倒壊して亡くなるということが非常に多いらしいんですね。それも瞬時に亡くなっているそうで・・・

 それと、ほとんど自宅で亡くなっているそうで、ちょっと言葉がきついですけど、自分が住んでる家に殺されたようなもので、せめて、自分の住んでいる家が倒壊して被災するような悲しいことにならないように、それらを少しでも減らしたいと思うんです。
そうでなくても、場所によっては、古い町並みで道が狭かったりして、道路に家が倒れていて人が逃げれない、救急車や消防車が地域に入れない、津波から逃げる道が塞がれてなかなか避難できないとか、逃げ遅れるとか、そういうところですね。

自分が住んでる家が地震がきたときに、命を脅かす存在になったりとか、避難を阻害する原因になるというのは、愛着をもってきた家だからこそ、そうなってしまうのは本当に悲しい話ですね。
住まわれている方が愛着をもってきた家だからこそ、その人の命を守る存在になってもらいたい、というのも、「ガルパワー」の役割の一つということですね。

 それと、震災が起こった時には、災害関連死と呼ばれる避難生活の環境によって、体調を崩されたりとか、気持ちが落ち込んだりとか、そういうことでお亡くなりになられる方も多いと、ニュースで耳にしますが、被災後もちゃんと環境が守られて、安心できる空間が確保できる、というのも「ガルパワー」の大きな役割の一つです。

 「ガルパワー」にすることによって避難所に避難しなくてもいい、とまでは言いませんが、避難所というのはやはり不特定多数の方が一同に生活しますので、やっぱりストレスだとか、空調設備が整ってないとか、そういう施設もありますし、停電になっちゃうと暖房や冷房を使えないですからね。
避難所が非常に暑い、外より中の方が暑い、そういう声も被災した方から聞いてますので、「ガルパワー」で屋根を軽量化して、自宅の被害を軽減させる、そうすれば自宅が家財が散乱しているかも知れませんが、住み慣れた家で避難生活を送れるというのは、やっぱりストレスは少ないと思います。

私も実際に避難所で生活したことはありませんが、できるなら自宅で過ごしたいと思いますし、ストレスのかかり具合は全然違うんだろうなと思います。

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