インタビュー
「株式会社秋重板金工業」

取締役会長 秋重 正久(会長)

代表取締役 秋重 正幸(社長)

正幸社長による一丸体制の構築

10億分の物件を回そうと思えば、やはり社長の右腕左腕のような方が必要になってきますね。

(社長)
いま専務と部長が同僚という感じでいていただけるのと、去年営業部長候補で入っていただいた方と、4人でよく連携できていると思います。

実務のほうは専務と部長が担当していて、新しい営業部長候補は、実は畑違いのところにいた方なのですが、いま色々と覚えてもらっている最中で、その人にいわゆる社長業的な事を補佐してもらいたいと思っています。

建築の監督も少ししていたのですが、やはり違う畑にいたからこそ違う視点を持っているので。
そういうところが2024年秋のLLP全国会議のテーマでもあった「人材の採用と育成」という面で、私の相談相手になれるような感じがしています。

一般的に中小企業の社長というと、そいう人たちの採用から育成から、必要なお金の工面。営業も現場管理も、全てオールマイティでやっている、というイメージですが。御社では適材適所、経営者として意見は出すけど基本的には役割を分担して事業を進めていく、という形ですね。

(社長)
以前は、対外的な事は会長がやって、社内管理的な事は前専務がやるという形だったのですが、ここ数年はそれを私一人でやっていたような感じでしたので、やはり大変でした。

現場はうちの専務や部長がしっかり管理してくれているので、安心して見ていられるのですが、やはり何でもかんでも1人でやるのは良くないでしょう。

(社長)
会長も私も、もう、仕事の8割9割は現場管理ですから。
積算から図面を書いて、材料を発注して。日々現場に出て監督と打合せして、というのがメインです。

その他、協力業者さんの手配や自社班の配置など、全体を管理するのは事務所側で行って、現場が始まってからは、25歳の子をはじめとした、職長さんが各現場を担当するというやり方ですね。

現場では純粋に技術力というものが求められ、事務所には純粋に管理力・段取り力が求められるという事ですね。
そこが明確になっているから分担できた方が良いし、分担できているからこそ10億の会社になったという見方もできますね。

一般的に、3億から5億規模の板金屋さんの場合は、職長さんが現場管理のような役割を担った方が上手くいきますし、そこまでは社長が営業兼現場管理をした方が上手くいく。
1億2億で職人さんに管理力を求めたり、逆に7億8億でまだ職長さんが管理をしていたりすると、どこかに無理が生じて上手くいかなくなる事が多いんですよ。

(社長)
一昔前までは会長と前専務が、社長が2人いるような感じで進めてきて、今は、まったく同じではありませんが、それを5、6人がそれぞれでやっているという感じですね。
その全体を会長と2人でうまく見れるようになってきました。

(社長)
各々で積算・見積り、図面を書いたり現場の段取りをしたりとか、口出しする事もなく、もうお任せですね。

もちろん利益の最低ラインは社内共通で持っていますけど、金額交渉や何やらは各々がやるような感じですね。
そのラインで納まったり納まらなかったりしますけどね。

それで大コケしないのは、相当優秀だからじゃないですか。

(社長)
ありがたい事に、事務所も現場も、弊社社員は優秀な人がそろっていると思います。
県外でトップの方々の話をお聞きする機会があるのですが、本当に勉強になる事が多くて、
県内でももっと成長・成熟していかないといけないと感じる事もあります。

部長も元は職人で、パソコンの使い方を勉強しながらですが、現場のことは良く分かっているので、しっかり利益を出してくるし、営業部長候補も同じく、細かいところは分からなくても、自分たちで考えて設定してくるので、どんどん任せてやってもらってます。

それでは組織的には、会長・社長、経営層がいらっしゃって、専務・部長が加わって営業と工務。現場では職長さんがいらっしゃって、職人さん協力会社さん、という体制ですね。

これは、先ほど社長が言われていた、戻って来られた時の心配事、一丸となっているからこそ回る組織なんだと思います。
逆に言いますと、一丸になれなくなった途端に、一気に崩壊してしまう危険性をはらんでいると言いましょうか…

そうならないようにするための繋ぎ役、接着剤の役割を果たしているのが、現経営者である社長なんだと思います。
皆さんは、各々自分の裁量で動ける能力はもっておられるので、あとはそれを一塊として維持できるかどうか、それが社長にとっての最重要の役割なのだと思います。

(社長)
そうかもしれません。
私は皆が働きやすい環境を作ることが役割だと思っていますので。

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